地域住民の手で復活。約350年の歴史ある福井市の祭り「ふくい祇園まつり」

2024年8月3日に開催されたふくい祇園まつりに行ってきました。
今年で開催29回目。しかし、実は350年前に始まった、とても歴史あるお祭りです。
お祭りらしいにぎやかな雰囲気と、伝統ある神事の両方を楽しむことができました。まだまだ規模は小さいですが、とても見ごたえのあるお祭りでした。
ふくい祇園まつりの様子や見どころをご紹介します。

福井市の足羽川沿いで「ふくい祇園まつり」が開催されました

ふくい祇園まつりは福井市で開催される祇園祭。2024年は8月3日に開催されました。メインとなる会場は足羽川AQUAテラス。

福井駅から徒歩約12分。駅の西口を出たら、左にまっすぐ進み、大通りを西へ。幸橋の交差点の手前を護岸に降りていくと会場が見えてきます。真横を足羽川が流れています。
また、メインイベントとなる「御神火祭(ごしんかさい)」の前に、木田神社でも神事が行われています。御神火祭とは願いを書いた祈願木をお焚き上げする祭事です。

7月28日には神様にお祭りの始まりを伝える「奉告祭(ほうこくさい)」が行われました。奉告祭では禊(みそぎ)が行われます。禊は誰でも参加することができます。
木田神社は足羽川AQUAテラスから徒歩約16分。平安時代からの歴史をもつ由緒ある神社です。

ふくい祇園まつりは約350年の歴史をもつお祭り

ふくい祇園まつりは今年で29回目。これはお祭りが復活してから数えて29回目の開催です。実は、ふくい祇園まつりは約350年の長い歴史をもつお祭り。
歴史ある祇園祭を復活させたいと立ち上がったのが、今回お話を伺った堀田会長とふくい祇園まつり振興会のみなさまでした。
堀田会長が福井の祇園祭の歴史をしっかり教えてくれました。
そもそも祇園祭とは牛頭天皇という神様を祀り、「疫病退散」を願うお祭り。京都に限らず、日本各地で祇園祭が行われています。
ふくい祇園まつりの始まりは1675年。当時災害や疫病が続いていたため、第5代藩主だった松平昌親が京都の祇園祭を参考にして始めました。
旧福以上の表鬼門が簸川神社(ひかわじんじゃ)、裏鬼門が木田神社にあたります。昔は2つの神社で祇園祭が行われていたそうですよ。
長く続いていた福井の祇園祭ですが、戦争や震災からの復興で祭りが開催されていない時期が続き、自然と途絶えてしまったそうです。
戦後復興のお祭りとして福井フェニックスまつりもはじまり、夏の行事として定着しています。
しかし、歴史ある祇園祭をもう一度、という地域住民の願いがあり、平成7年についに復活しました。
平成28年には「ふくい祇園まつり」と名前を一新。親しみやすく誰でも参加できるお祭りにしようと毎年工夫をこらしているそうです。
昔の祇園祭について詳しい資料がほとんど残っていないそうです。しかし、昔のやり方にとらわれず、もっとにぎやかにしようと考えいろいろなアイデアを取り入れていました。

その中で今年初めて取り入れられたのが、灯篭流し。願いを灯篭に書いて、足羽川で流すというおしゃれな取り組みです。
ちなみに、2023年はスカイランタンに挑戦。新しく、映える取り組みは若い人の心にも響きやすく、うまく伝統と組み合わせているところがとてもすてきだと思いました。
灯篭流しの灯篭は自然に溶ける素材で作っているということでした。事前販売もあり、当日の夕方には完売。
淡く光る灯篭がゆっくり川に浮かんでいる姿はとても幻想的でした。

5つの地域から出発する山車行列

8月3日の正午に「発輩祭(はつれんさい)」という神事が木田神社で行われ、山車が5つの地区を出発します。
社北、社南、みのり、木田、足羽の福井市南部の5つの地区、それぞれで作られた山車。特に社南の山車は毎年デザインを新しくしているそうです。
山車行列には、自由に参加することができます。山車は4人くらいでも引ける重さですが、30人くらいで引くそうです。にぎやかで楽しそうですね。
各地区を出発した山車は一度、木田神社を目指します。
そして、18時に木田神社を出発して5基の山車による大巡業が始まります。コロナでしばらく大巡行をひかえていたため、今年は久しぶりの復活の年でした。
橋を渡る5基の山車を見ることができましたが、十分に迫力があり、気持ちが高まりました。

キッチンカーやステージを楽しめるお祭り広場

大巡行の終点が足羽川AQUAテラスに準備されたお祭り広場。

お祭り会場では15時からステージイベントが始まりました。ステージではサックス演奏やダンス、殺陣教室の演武など見ごたえたっぷりのプログラムが用意されていました。

奉納太鼓の大丈夫太鼓(ますらおだいこ)も見ることができました。

はちまんこども園のこどもたちによる絵も初展示。ぜひ見てくださいとスタッフさんにおすすめしてもらいました。テーマは夏。夏らしい元気いっぱいの絵が飾られていました。

スーパーボールすくいやヨーヨー釣りは無料で遊ぶことができたので子どもたちに大人気。お店番には中学生が立っていました。小さい子のお世話を上手にしてくれましたよ。綿菓子やポップコーンもあり、地域のお祭りらしい雰囲気も楽しむことができました。

会場では祈願木に願いごとを書くことができます。30cmくらいの板に名前と願いごとを書くとお焚き上げで天に送ってくれます。
お祭り本番前にも市内の神社や公民館、ショッピングセンターなどでも書くことができました。今年は8000本ほど集まったそうです。

夕焼けが近づくころに、山車の大巡業が近づいてきました。開場から橋を渡る姿が見え、音楽も聞こえてきました。一気に祇園祭の雰囲気になっていきました。
山車も間近でみることができ、引いている人の熱気が伝わってきます。太鼓の音やかけ声がよく響いていました。
到着した山車は足羽川沿いに並びます。ちょうど暗くなって、山車がきれいに光っていました。手作りとは思えない見事な作りにも驚きました。

山車が整列するといよいよ式典のはじまりです。

フィナーレは荘厳な御神火祭

「招福祈願祭(しょうふくきがんさい)」という式典がいよいよはじまります。
実際の神事を間近で見ることができました。祝詞を読み上げ、猿田彦の舞もありました。お祭りという神事の流れがよくわかり、とても面白かったです。
そして、いよいよお焚き上げ。一番の見どころです。釜に火がつけられると、火が大きく燃え上がりました。その中に願いごとが書かれた祈願木がどんどんくべられていきます。
目の前で見ることができ、迫力に圧倒されました。
天気もよかったので、夜空に炎がよく映えます。
祇園祭を復活させたい、続けていきたいと願う地域の方々の想いがよくわかりました。

これからももっとにぎやかなお祭りに

まだまだ福井でも知らない人が多いふくい祇園まつり。しかし、今回実際に見て、福井を代表するお祭りになってほしいと思える魅力的なお祭りだと思いました。
ふくい祇園まつりは、お殿様がはじめたお祭り。福井の歴史に深くかかわるお祭りです。だからこそ、復活させたい、残していきたいという多くの地域の方の想いがあります。
今は、他の大きなお祭りより小規模ですが、もっとにぎやかにしたい。福井の大きなお祭りの原点として大きくしていきたいそうです。
将来は、かつてのように、北と南に位置する2つの神社を巡る山車の行列が見られるかもしれません。
29年の努力の積み重ねで、木田神社や周りの地域では夏の祭事としてしっかり定着してきました。
また、来年は新しい試みも取り入れられるかもしれません。伝統を大切にしつつ、にぎやかに楽しむことを忘れない、古くて新しいお祭り。
ふくい祇園まつりはこれからも目が離せない夏のイベントです。

足羽川AQUAテラス「ふくい祇園まつり」★
住所:福井県福井市中央1丁目19−10
アクセス:JR北陸本線「福井駅」から徒歩約12分
開催期間:8月3日(土)
開催時間:15:00-20:00

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。