福井市が誇る日本最大級の桜トンネルを彩る!独楽吟ぼんぼりと「足羽川ぼんぼり物語」

春の楽しみの一つはお花見。
福井市の足羽川沿いの桜並木は「日本さくら名所100選」にも選ばれた桜の名所。毎年必ず足を運んでいます。桜のトンネルは何度通ってもその美しさに感動します。

今回は「足羽川ぼんぼり物語」という桜を楽しむイベントに行きました。友だちが実行委員に参加しているということで、実行委員長にお話を聞いてきましたよ。

桜を支える、たくさんがいるからこそきれいな桜並木。パフォーマンスも開催された3月末の土日に行ってきました。

福井駅から徒歩約10分。桜を彩る「足羽川ぼんぼり物語」と独楽吟ぼんぼり

「足羽川ぼんぼり物語」の会場は福井駅から徒歩約10分。九十九橋から泉橋の間の桜並木がメインです。
福井駅西口を出たら、福井鉄道の線路に沿って西に歩きます。大名町の交差点を左に曲がってまっすぐ歩くと、足羽川が見えてきます。幸橋を渡ると桜並木に到着です。
期間中はシャトルバスの運行も。臨時駐車場も用意されているので、車でも行くことができます。
今年で10回目を迎える「足羽川ぼんぼり物語」。

飾られているぼんぼりはすべて手作りです。
1つ1つ木の枠を組み立てて作られています。そして1面ずつ独楽吟(どくらくぎん)という歌が書かれています。独楽吟とは福井出身の橘曙覧(たちばなあけみ)がよんだ5・7・5調の和歌。「たのしみは」で始まり、「のとき」で終わるという形式になっています。
ぼんぼりにこの独楽吟を書いているのは、市内の小中学生。今年は8つの小中学校の学生さんが参加しています。
もともと桜の季節にぼんぼりを飾っていましたが、独楽吟になったのは足羽川ぼんぼり物語が始まってから。ずっと桜を彩っていたぼんぼりが、予算不足のため6年間姿を消した時期があったそうです。
もう一つの桜の名所である足羽山にはぼんぼりを飾っているのに、足羽川にないのはやっぱりさみしい。ということで、今の実行委員長さんを含め、多くのボランティアさんが立ち上がりました。
ぼんぼりを1基作るのに、かかるお金は1万円ほど。
予算がない中で出た案が中学校との連携。当時の光陽中学校のPTA会長さんが中学校にかけあい、ついに子どもたちによる独楽吟ぼんぼりが実現しました。

小学校も参加していますが、メインは中学1年生。
ぼんぼりの作成は2月。いい思い出になりそうですが、卒業間近の中学3年生には難しい時期です。
中学2年生はというと、福井の中学校では冬に「立志式」という行事があるそうです。これは15歳で自戒の書である「啓発録」を著した橋本佐内にちなんだもの。
そこで、大きな行事がない中学1年生には、冬の総合の時間に橘曙覧について学んでもらおう。そして、独楽吟を詠み、ぼんぼりを作ってもらうということになったそうです。
スタートは1校でしたが、今年は8校が参加し、400基ほどのぼんぼりが並びました。これからもより多くの学校に広め、ぼんぼりを増やしていく予定だそうです。
私は県外出身なので、福井の偉人について若い頃から学ぼうというところに、郷土愛をすごく感じました。毎年参加する学校が増えて、福井全体を巻き込むような大きなプロジェクトになるといいなと思います。

独楽吟ぼんぼりのもう一つの見どころは中のライト。なんと太陽光を貯めて光るLEDだそうです。
木枠が古くなったものは入れ替えるそうですが、ぼんぼり自体は毎年紙を貼り替えて使っています。環境のこともしっかり考えられているイベントです。

お花見を盛り上げる約30台のキッチンカーとステージイベント

「足羽川ぼんぼり物語」は独楽吟ぼんぼりだけではありません。キッチンカーやステージイベントもあり、盛り上がっていました。

キッチンカーは九十九橋から幸橋の間の河原沿いに約30台がずらりと並びます。お花見と言うと屋台のイメージがあり、ふくい桜まつり全体では屋台もたくさん。
両サイドに並ぶキッチンカー。屋台と違う雰囲気がとてもかっこいいです。定番のりんご飴や唐揚げからおしゃれなお肉料理や飲み物などメニューが豊富でした。

桜床という特別なお花見席があり、キッチンカーグルメをゆっくり味わうことができます。お席代は無料。予約もできるので、ゆっくりお花見したい人には最高のロケーションです。
ぼんぼりも近くで楽しむことができますよ。

3月の週末のみ開催された独楽吟ぼんぼり制作コーナー。昨年も20基ほど一般の人の作品が並んだそうです。1面500円で自分の独楽吟を描いて、飾ってもらうことができます。私も作ってみました。
いざ、「たのしみは・・・」と考えると思いつかないものです。書くときも緊張しました。

もちろん、自分の想いを書いても、イラストを書いてもいいそうです。子どもたちの楽しいイラストつきぼんぼりもたくさん作られていました。
ステージイベントも開催。和太鼓の生演奏やよさこい、ダンスパフォーマンスや合唱など。お昼からにぎやかな雰囲気に包まれていました。

実行委員長さんが、いつかやりたいと心待ちにしていたフラッシュモブもおこなわれました。見ている人も巻き込んでの楽しいダンスでした。

「日本さくら名所100選」の桜の命を守る人々

足羽川沿いの桜のトンネルは日本最大級。満開になると本当にたくさんの人が訪れます。
今回、この桜を保護している桜守の会の会長さんにもお話をうかがうことができました。
桜守の会は、福井の桜並木を守るために桜アンチエイジングをしていくれています。今ある桜の木が、もし倒れてしまうと法律上新しく植えることはできないそうです。
桜の寿命は70年ですが、すでに植えられてから70年以上経ち、枝が折れたり倒れたりしています。
桜守の会はそのような桜の、上の方の枝を切り、下の枝に栄養が行くように選定しています。そうすることで、桜の生きる力でさらに長生きできるということでした。

桜床の近くには、令和5年の豪雪で倒れてしまった桜の木が見えます。まだ花は咲かず、痛々しい姿です。でも、桜守の会のみなさんがきちんと手入れをしたので、また花を咲かせてくれます。
桜の生きる姿を見てほしいという想いで、倒れた桜の木も見えるいつもの場所に桜床が設置されました。
また桜が咲く日が楽しみです。
毎年このようにして20-30本の桜が選定され、守られています。
きれいな桜並木は自然と人の力によって生まれているんですね。

人がいるから続いていく景色と思い

桜をさらに彩り、春の訪れを大いに盛り上げてくれる「足羽川ぼんぼり物語」。
10回目を無事に迎えるまでに、たくさんの人の想いがあり、頑張りがありました。足羽川ぼんぼり物語の実行委員会に関わる人はみなさんボランティア。それぞれ仕事をしているかたわらで、このイベントを続けるために集まっています。

福井の桜をずっと残していきたい。
福井の故郷の良さをずっと残していきたい。
そういった目に見えない人の想いがたくさんあります。
当たり前の春の景色はたくさんの人のおかげで続いてきたものでした。
昼も夜も美しい桜並木と、桃色の花をふんわり灯すぼんぼり。色んな人の想いを感じながら、思い切り楽しみましょう。
そして、あなたの「たのしみなとき」を見つけてくださいね。

「足羽川ぼんぼり物語」
会場:和泉橋から九十九橋間の足羽川左岸堤防
アクセス:福井駅から徒歩約10分
開催期間:2024年3月23日(土)~4月7日(日) ※桜開花遅延のため4月14日(日)まで延長

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。