福井市で作りたいものを形にできるものづくり工房「トンカンテラス」

「トンカンテラス」はものづくり好きの私たちがずっと気になっていた場所です。

3Dプリンターやレーザーカッターなどの機材を使ってものづくりができる場所があると聞いて、いつか行きたいと思っていました。

最初は1人で行きましたが、思った以上に楽しくて家族でものづくり体験でも訪れました。

「こんなもの作れたらいいな」がかなう場所、トンカンテラスをご紹介します。

福井市で気軽にものづくりに挑戦できる「トンカンテラス」

トンカンテラスは福井市高木中央にあるものづくりが楽しめる場所。ミシンや工具だけではなく、3Dプリンターやレーザーカッターまでそろっています。誰でもさまざまなものづくりに挑戦できる場所です。

福井駅から大和田大学病院線に乗って約12分。ふくいトヨペット前を下りて、フェニックス通りを北に進みます。最初の角を右に曲がり線路をこえて直進。踏切をこえてすぐの交差点を左へ。2本目の角を右に進み、最初の角を左に。

住宅街の中にガレージをオープンにしたスペースが見えてきます。ガレージの一番手前に置いてあるトンカンテラスの看板が目印。

車で来るときは駐車場が少し離れているので、事前に場所を確認してください。

入り口はガレージの奥。中に入ると中は工房のようです。真ん中には作業ができるテーブル。壁沿いに、3Dプリンター、ミシン、レーザーカッターなどのものづくり機器が並びます。

オープンは金曜日と土曜日の週2日。

金曜日は企業が商品開発などで利用することが多く、土曜日は家族連れでものづくりに来る人が多いそうです。年代も幅広く3歳から80代までいろいろな人が訪れます。

ガレージでの作業もできるそうです。ものづくりをした人の記録ノートを見させてもらうと、工具を使って屋台を作った人もいました。結婚式のウェルカムボードを作りに来た人もいるそうです。

作りたいものを自分たちの手で作れる場所はまだまだ数少ないです。トンカンテラスのような場所はとてもありがたいですね。

誰でも気軽に集える「ものづくり工房」の誕生

トンカンテラスのオープンは2022年の4月。

もともと福井出身ですが、しばらく県外に住んでいたというオーナーさん。

きっかけは福井市で開催されたX SCHOOLというプロジェクト。県内外の人が集まり6つのチームに分かれて、リサーチやアイデアを出し合い最終的にデザイン事業をプレゼンするという企画でした。

このプロジェクトに参加することで、何もないと思っていた福井は、何でも出来る場所だと再認識したそうです。

同じタイミングで家族の介護のため福井に戻ることを決意。もともと9人家族で人が集まるのが普通だったというご実家。

そんな子どもの頃の原体験から、自分たちが外に出られないなら、家を人が集まる場所にしようという発想になったそうです。

もともとものづくりが好きだったというオーナーさん。

作りたいものを作れる場所。そして、コミュニケーションが生まれる場所。というキーワードやさまざまなタイミングがそろってできた場所がトンカンテラスです。

作りたいものを作れる場所が地域にあることはヨーロッパではとても重要だそうです。実際に日本国内にもファブラボというものづくりの拠点がたくさんあります。

トンカンテラスが目指すのは、ファブラボよりももっと敷居が低い「ものづくり工房」。誰でも気軽に入りやすい、やわらかい雰囲気を大事にしています。

工房という言葉がしっくりくる雰囲気の中では、初めて出会う人とも自然と会話が弾みそうです。

ものづくりメニューに家族で没頭

3Dプリンターやレーザーカッターを使ってみたいと思っても、何を作ればいいのか悩んでしまいますね。

まず使ってみたいという人におすすめのメニューが用意されています。子どもたちが喜びそうな内容だったので、家族で作りに行きました。

娘はカラビナキーホルダー、息子は3Dプリンターで作るネームキーホルダーに挑戦。

まずはカラビナキーホルダー。パーツはすべて用意されているので、基本は色を選んで組み合わせるだけ。

カラビナのパーツは海洋プラスチックのアップサイクル製品。海洋プラゴミやペットボトルキャップなどプラスチックをリサイクルして作られています。

ちなみに、プラスチックをリサイクルしたグッズは他にもたくさんあります。最初は手作業で作っていたそうですが、機械を開発し、今は1つの事業になりつつあるそうです。

ボタンやコースター、キーホルダーのパーツなども作れるそうですよ。

カラビナキーホルダーに使う木のパーツをレーザーカッターで作るところも見せてもらいました。レーザーカッターが動く様子に娘も興味津々。保護メガネをかけて食い入るように見ていました。

息子は3Dプリンターに挑戦。3Dプリンターの作品を作るにはまずデータ作りから。使うのはTinkerCADという無料のソフト。家のパソコンでも利用できるので、慣れてきたら自分でデータを作って持ってくることもできます。

使い方を簡単に教えてもらったら、自分のオリジナルデザイン作りスタート。使い方はシンプルで動かし方も分かりやすく、初心者でもすぐに使えそうでした。

話を聞いているうちに、作りたいものがあると興味がぐっと出た様子の息子。

息子は結局1時間集中してデザインしていました。かなり複雑なデザインとなりましたが、作ってみることに。3Dプリンターで作成できるように細かい部分は修正してもらいます。

いよいよ3Dプリンターでプリントアウト。すごく時間がかかると思いましたが、大体20分くらい。サイズは4㎝。画面で作っている時はもっと大きく感じましたが、思ったより小さいです。ネームプレートには良いサイズですね。

プリンターで出せる色は1色のみ。色は自分でぬる必要があります。

プリントアウトが始まると、下から順番に層ができていきます。中は詰まっているのかと思っていたら、意外と空洞が多かったです。できあがると中身はわからないので、作る過程も面白いですね。

できあがったら冷めるのを待って完成です。細かい部分はデータの通りに再現できないところもあるようでした。実際に作ってみてわかることもたくさん。次は何を作ろうかなとついつい考えてしまいした。

目指すのは自分でものづくりができること

自分で作ってみたいものがあれば、トンカンテラスに行ってみましょう。自分が作りたいパズルやミニフィギュアを作りに来ている人もいました。

企業から個人まで誰でも気軽に利用できるところがトンカンテラスの魅力です。

利用するときはまず会員登録をしましょう。登録料は無料です。

会員登録をするときに、トンカンテラスの利用方法を説明してくれます。

料金システムはとてもシンプル。トンカンテラスを利用した時間に応じた基本料金に使いたい機材の利用料金がプラスされます。利用してみるとわかりますが、料金はとてもリーズナブル。

こんな立派な機材を、こんなにも気軽に使えるなら、次はこんなものづくりに挑戦したいといろんなアイデアが浮かんできますね。

初めて機材を利用する人は安全講習を受けます。また、機材を使うためのデータ作成などは個別サポートで教えてもらうことができます。

トンカンテラスの目指すところは、自分でものづくりをできるようになる人をふやすこと。ただ行って機材を使うだけでなく、自分で一から作りたいものを作れるようになると、ひとりひとりの可能性もさらに広がりますね。

トンカンテラスが金曜日と土曜日しかオープンしていない理由も、教えてくれる人がいる状態を作るため。行けば教えてくれる人がいるというのは、利用者としてもとても心強いですね。

トンカンテラスは「私設ものづくり公民館」

トンカンテラスを一言で表すなら「私設ものづくり公民館」。ものづくりを通して子どもも大人も、障害のあるなしも関係なく集まって交流できる場所です。

いろいろな人が出会えるように、入りやすい雰囲気づくりを意識しているそうです。常連さんばかりだと、入りにくいという人も出てきてしまいますね。

新しい人も、ふらっと来やすい空間を常に考えているそうです。

AIを使ってできる最新のものづくり情報もたくさんお話してくれました。ニュースで目にしても自分には関係がないと思ってしまいますが、お話を聞くと身近な場面で楽しめそうな気がしてきました。

オーナーさんのお話をうかがっていると、ひとりひとりがもっと作りたいものを作れるんじゃないかという可能性を感じました。

トンカンテラスが目指すのは、自分で作りたいものを作れる人が増える場所。そして、地域のためになる場所になること、と話してくれました。

実際に3Dプリンターやレーザーカッターを見てみると、作れるものはたくさんありそうでした。かわいい置物や立派な看板だけではなく、普段使う鍋敷きやコースター1つでも作ってみていいんだなと感じました。

ものづくりを通して、人と人が出会える場所はこれからますます必要になりそうです。これからトンカンテラスのようなものづくりの拠点が増えていくといいなとも思います。

作ってみたいもののアイデアが浮かんだらトンカンテラスを訪れてみてくださいね。

トンカンテラス
住所:福井県福井市高木中央1丁目1501
アクセス:福井駅から京福バス「大和田大学病院線」福井トヨペット前下車、徒歩約6分
えちぜん鉄道三国芦原線「まつもと町屋駅」から徒歩約24分
営業時間:10:00-17:00
定休日:日曜日~木曜日

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。