福井市の「87café」で楽しむ、ラテアートとカフェライフ

数字の看板がとても印象的な87caféに行ってきました。
ラテアート専門店という肩書きも気になっていたお店。
オーストラリアのカフェで経験をつんだオーナーさんのお話は、ラテアートに留まらない奥深さを感じました。
カフェのあり方、ヨーロッパ式エスプレッソの魅力など、いろいろなお話を伺うことができ、カフェってこんなに素敵な場所だったのかとたくさんの発見もありました。
読めばきっと行きたくなる、87caféの魅力と楽しみ方をご紹介します。

福井市でラテアートが楽しめる87café

87caféは福井市飯塚町のバス停から徒歩約5分のところにある、ラテアート・デザインカプチーノ専門店。ラテアートやランチ、デザートが楽しめるカフェです。
京福バス「飯塚町」のバス停を降りて西環状線を北に歩きます。飯塚の交差点を左に曲がり、コインランドリーまで行くと左手に看板が見えてきます。

「87」と書かれている数字の看板はよく目立ちます。数字だけの店名が覚えやすくて、私も長い間気になっていたカフェでした。
クリーム色の壁に三角の屋根が周りの建物と少し違うかわいい雰囲気です。植物もたくさんあり、そこだけ南欧のようなイメージが浮かびます。

店内の壁の色はメルボルンカラーやコロナビールのレモンイエロー。気づいた人がちょっと楽しくなる内装です。

壁の配色や黒板のイラストはオーナーさん自ら担当。
よく見るとダルマや大仏の置物があるユニークなインテリアですが、意外にもカフェの雰囲気に溶け込んでいます。

87caféは今年の秋でオープンして16年目。個人経営のカフェとして長く地元の人に愛されているお店です。87caféの話をすると、私の知り合いでも「知っているよ」と言う人がたくさんいました。

朝から晩まで老若男女、さまざまな人が訪れます。同じ時間帯でも、家族で来る人、お友だち同士で来る人、のんびり自分の時間を楽しむ人など、各テーブルで過ごし方が全然違うそうです。
87caféのオーナーさんはオーストラリアのカフェで働いた経験があり、コーヒーの淹れ方もヨーロッパ式。噂を聞きつけて、海外経験のある人や一時帰国中の人が遊びに来ることも多いそうです。

「外国にいた時のコーヒーの味わいが懐かしい」とそれらのお客さんは感じるようでした。
金曜日と土曜日の夜は深夜0時まで営業。アルコールメニューもあるので、バー感覚で来る人も多いようですね。バーだけだと入るのに勇気がいりますが、カフェバーだとお酒を飲まないお友だちとも気軽に立ち寄ることができそうです。 遅くまでゆっくりできる店があることはうれしいですね。

ヨーロッパ式のエスプレッソが楽しめるカフェ

コーヒーといえば日本ではドリップのイメージです。しかし、淹れ方にも実はさまざまなスタイルがあると教えてもらいました。

87caféで味わえるのは、ヨーロッパ式のエスプレッソ。
そもそも、エスプレッソとはたった一杯のために抽出するとても贅沢なコーヒー。
オーダーを受けてから、豆を挽いて、エスプレッソマシンに入れて、約30秒。コーヒーのうま味だけを抽出した1杯がエスプレッソ。
豆もエスプレッソマシンも厳選したものを使っています。
豆はイタリアの伝統的なコーヒー豆。エスプレッソマシンは、10年ほど前にはバリスタチャンピオンシップでも使われていた「シモネリ」のマシン。
コーヒー豆と言えば、エチオピアやコロンビアなど暑い国のイメージです。イタリア産のコーヒー豆があるのは驚きでした。南欧の雰囲気も味わえるような気がしてきます。
日本では、コーヒーと言えばアメリカ式。ヨーロッパの豆と機械で淹れたコーヒーは、なかなか味わえないそうです。

一杯ずつ淹れるエスプレッソに対して、アメリカンはコーヒーデカンタに数杯分を淹れるスタイル。よく見るコーヒーマシーンもデカンタを使うアメリカ式です。
淹れ方がそんなに違うと知らなかったので、目の前のカフェラテがとても愛おしくなってきました。
おいしいエスプレッソを、さらに彩っているのがラテアート。

「絵のリクエストはありますか?」と言ってくださったので、福井のシンボル、恐竜をお願いしました。
実は恐竜は初めてだったそうで、オーナーさんとスタッフさんがそれぞれ挑戦してくれました。
オーナーさんは自分のタッチの絵が得意なので、お手本を見ながら書くことに慣れていないそうです。かわいい恐竜のラテアートができました。スタッフさんの恐竜はとってもリアルでした。
ラテアートにもそれぞれ描き方があるのはおもしろいですね。ついついカフェに通って、いろんな絵を見たくなりますね。

楽しみ方は無限大!豊富なメニュー

「おすすめのメニューは?」と尋ねると、「一言では難しい」という回答。来る人が決めるから「これが人気です」と言うものはないそうです。
人それぞれ食べたいもの、飲みたいものはさまざま。スイーツメニューが好きな人、ランチメニューが好きな人、など好みもバラバラだそうです。その日の気分でももちろん変わりますよね。

好みが千差万別になるのも納得できるほど、メニューがとても豊富です。営業時間も長いので、ランチ、スイーツ、ドリンク、アルコールなど、来る時間によって選べるメニューも変わります。
ドリンクだけでもたくさんあるので、「次に来た時はこれを頼みたい」と思いを巡らせてしまいます。

オープン当初から続くメニューは、ガトーショコラやチーズケーキ。ガトーショコラやアフォガード、コーヒーゼリーにはエスプレッソを混ぜて作っているそうです。
ベーシックなメニューに加えて、パフェなどのオリジナルメニューもあります。流行を取り入れたり、時期に合わせたシーゾナルメニューも。
ナポリタンやドリアもあり、カフェらしいランチも楽しむことができます。

とても気さくで経験豊富なオーナーさんのお話

オーナーさんはオーストラリアのメルボルンに3年弱住んでいたそうです。
実はメルボルンはカフェ先進国。イタリアのコーヒー文化の影響が強く、メインはエスプレッソ。個人経営のカフェの数がとても多く、大手コーヒーチェーンも撤退するほどです。
世界トップクラスのバリスタも多いです。

87caféのスタイルは、オーストラリアのオペレーションを取り入れている部分が多いそうです。日本では珍しいと思われるところもオーストラリアでは当たり前のスタイル。
歴代のスタッフさんの中にも、オーストラリアでカフェを経験した人やバリスタが何人もいるそうです。バリスタという言葉も一般的になり、昔よりも上手な人が増えてきたと感じるとオーナーさんは教えてくれました。

日本と海外のカフェの違いもいろいろと教えてもらいました。
日本では大手のカフェチェーンが強い市場。一方で、海外では個人経営のカフェが多いそうです。
海外では仕事の合間に一息つくティーブレイクの時間があります。10分から15分の休憩時間にコーヒーや紅茶をたしなむのが日常。
カフェもオーナーさんの個性でテイストが違うので、その日の自分の気分に合せてお店を選べる環境があります。
そういうカフェの一つになれたらいいという想いで、87caféが始まったそうです。

目指すのは「ちょうどいいお店」

店名の「87」はエスプレッソの最適抽出温度。日常の中でちょうどいい店を目指しているそうです。
ちなみに、87caféの由来は他にもあるそうです。
「8」は東洋では末広がりの意味でいい数字。「7」は西洋ではラッキーセブン。東洋と西洋が合わさっています。さらに、数字は国籍を問わず子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで読める世界共通の文字。
エイティーセブンカフェと読みますが、読み方は何でもいいと言います。「あそこに数字のカフェがあると知ってもらえればいい」と。オーナーさんの期待通り、たくさんの人が87caféの存在を知っています。

カフェはもっと自由なカタチでいいとオーナーさんは言います。
87caféはオーナーさん自身が何を提供できるかをイメージして詰め込んでできたカフェ。はっきりとしたテイストがあるわけではありません。でも、全部合わせて87café。ここでしか味わえない時間があります。

昔はもっと個人経営の喫茶店がありました。最近はコンビニなどでも簡単にコーヒーが飲めるようになりましたが、反面、個人経営のお店は減ってしまいました。
もっと日本にも個人経営のカフェがあってもいい。令和の喫茶店があればいいとオーナーさんは終始語ってくれました。
今日はここに行こうとカフェの時間を楽しめる街はとても楽しそうです。
ラテアートも楽しんでほしいですが、87caféがもつ雰囲気や時間も楽しみに訪れてみてください。

87café
住所:福井県福井市飯塚町13-105
アクセス:京福バス 学園線「飯塚町」から徒歩約5分
     えちぜん鉄道「福大前西福井駅」から徒歩約45分、車で約10分
TEL:0776-97-5571
営業時間:月曜日-水曜日、日曜日 11:00-22:00
     金曜日-土曜日 11:00-24:00
定休日:木曜日

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。