福井市の「萬松山 大安禅寺」で、歴史と自然を感じながら禅体験

今回ご紹介させていただく「萬松山 大安禅寺」(ばんしょうざん だいあんぜんじ)さんは、木々に囲まれた安らげる場所であり、参拝する以外にも、さまざまな楽しみ方ができるお寺です。
そのうちのひとつである写経体験に、予約をして行ってきました。

大安禅寺は、徳川家康のひ孫にあたる、第4代福井藩主の松平光道公によって、越前松平家の菩提所として江戸時代に建てられました。
当時の最高技術が用いられたいくつもの建築物は、国の重要文化財に指定されており、歴史と光道公の先祖や両親に対する思いが伝わってきます。

山の中のアトリエ

国道416号を日本海側に向かって進み、県道251号に入ってもそのまま真っ直ぐ進むと、山につき当たります。
右折して山ぎわの道を進むと、看板が見えてきます。
バスでお越しの場合は、このあたりで降りてから約20分ほど歩くことになります。

信号は無いので、この看板の案内を頼りに左折します。
民家を抜けて、ぐねぐねとした坂道をのぼり、広い駐車場が見えたら到着です。
拝観入口をくぐり抜けて少し進むと、建物にたどり着きました。
この中に入り、受付をします。

左手側は、福井藩の歴代藩主のお墓が並ぶ、通称「千畳敷」がある方向になります。
受付を済ませてから進んでください。

右手側には、建築物が奥の方まで続きます。

なんにせよ、すべての入口はここからということで中に入ると‥

想像とはちがい、なんだかにぎやかです。
和風の画廊と工房のようで、楽しそう!

このように職員の方の手作業で、すてきな御朱印ができ上がります。
文字は副住職である和尚さんの直筆です。
なんと、習字をされていたでも誰に教わったでもなく、我流だそうでびっくりです。

おごそかとおもしろいを、リラックスしながら満喫

入口で早くもテンションが上がってしまっていますが、目的の禅体験も楽しみたいと思います。
この日は日曜日だったので、県外からお越しの団体さんと一緒に、和尚さんの法話を聞くことができました。
生き生き法話といって、すごく人気があるのですが、個人では聞ける機会がないのでとてもありがたいです。
その前に、まずはからだをほぐしてから坐禅タイムです。

畳の上や椅子に座ったまま、みなさん、自身のやりやすい方法での挑戦です。
このあとスクリーンがあがり、和尚さんが登場します。
法話が終わるとあったかい気持ちになり、また明日から頑張ろうという思いで部屋を後にし、いよいよ写経の時間です。
案内していただいたのは、ローテーブルが並ぶ、景色と日当たりがいいお部屋です。

和尚さんじきじきに作法を説明してくださり、お香を焚いてくださいました。
文字だけではなく、仏様の絵をなぞるタイプもあり、こちらはお子さんにおすすめだそうです。
ひとりきりになり、薄く書かれたお経の文字の上を、筆ペンでなぞっていきます。

風によってこすれる、木々の葉のザワザワという音だけをBGMに、約1時間ほどかけて完成させることができました。
最後にお願いごとと、名前や住所を記入します。
ご祈祷をしていただけるので、心をこめて。
書き終えて報告したら、集中したあとにうれしい、お抹茶タイムです。

福井市内のお菓子屋さんがつくった、栗を模したお菓子とともにゆったりと開放的な時間です。
最後に和尚さんが書かれた御朱印形式の納経証をいただいて、写経体験は終了です。

以上のほかに、お抹茶をつけずに写経だけの体験や、坐禅体験があり、ひとりから予約が可能です。
団体になると、法話を聞いたり精進料理を味わったりなど、体験の幅はもっと広がります。
それぞれの実施日や人数などは、予約の時に確認していただけたらと思います。

今回で、写経体験がすごく気に入りました。(抹茶とお菓子が楽しみともいう)
しかしながら、ご祈祷していだけるということもあり、頻繁にやりにきたらありがたみも何もあったもんじゃ無いのではと思い、職員の方に疑問をぶつけてみました。
回数や周期などは気にしなくても良いとのことなので、何か節目のタイミングでやりにくるのもありかなぁと思いました。

保存修理事業、”令和の大修理”

個人での参拝や見学は、自由におこなうことができます。
せっかくなので、いろいろと見て回りました。
建立から350年以上が経つ大安禅寺は現在、保存修理期間中です。
本堂を含む8棟がその対象になっており、広い敷地内にある重要文化財は、ほんの一部だけを見ることができます。
逆に、この期間だからこそ貴重な修理現場を見学することもできます。

ありがたいことに、写真掲載の許可をいただきました。

階段をのぼって、ちょうど本堂の屋根の部分に出ます。
至近距離からなので、すごい迫力です。

先ほど法話を聞いたお部屋には文殊菩薩様がまつられていますが、御本尊である十一面観世音様と、いだてん様が、本堂から一時的に引っ越しをしています。
三体が同時にまつられているのも、今だけのレアなことなのだそうです。

日々いろんなことがあってざわざわする心を落ち着かせるために、お寺での時間を過ごしにきましたが、笑ったりわくわくしたりできるとは予想外でした。
自然の清々しい空気を吸いながらの禅体験、パワーチャージにおすすめです。

萬松山 大安禅寺
住所:福井県福井市田ノ谷町21-4
アクセス:えちぜん鉄道三国芦原線「新田塚」から車で14分
TEL:0776-59-1014
拝観時間:9:00-17:00(受付け16:30まで)
定休日:なし(臨時休寺あり)

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。