福井市で唯一のオルタナティブスクール「小さな学校ヒトツナガリ」

小学生の居場所づくりという課題を最近よく耳にします。

その中で2023年から活動を始めたオルタナティブスクール、ヒトツナガリ。

福井県内で新しい学校のあり方として注目を集めているスクールです。

子どもたちが自主的に考えて行動する、暮らしの中で役に立つ知恵をつける場所。家からも通いやすい場所にあるので、来年1年生になる息子と体験に行ってきました。

福井市で初めてのオルタナティブスクール、小さな学校ヒトツナガリ

ヒトツナガリは福井市で活動するオルタナティブスクール。現在は2拠点での活動中。

1つは福井市安居地区にあります。福井駅から京福バス桜ヶ丘団地行に乗って約19分。細坂口で下りて西に歩き最初の角を右に曲がります。道なりに進むと見えてくる蔵の横に「tsuchica~暮らしと地球研究所~」があります。

看板などはありませんが、こどもたちにはなじみの場所です。ここで、畑仕事や山歩きなどができる自然に触れる活動をしています。

さらにすぐそばには今後拠点となる小屋があります。現在はみんなで修復をしているところ。

もう1か所は「アトリエ十三(じゅうさん)」。現在は月に数回のオープンですが、以前からお絵かき教室として開校していました。福井駅から京福バス清水グリーンライン行に乗って約22分。門前北で下りたら、ローソンが見える角まで戻って左に曲がります。

公園通りを西に進み、大きな坂の手前の角を左に曲がると陽光台公園に出ます。アトリエ十三は公園の目の前にありますよ。

アトリエ十三の先生で、ヒトツナガリの代表である「あんこ」さんは絵本作家さん。大人向け、こども向け両方のお絵かき教室を毎月開いています。

オルタナティブスクールとは、直訳すると「もうひとつの学校」。一般的な公立や私立の学校とは異なるカリキュラムをおこなう学校を指します。

フリースクールは不登校支援をメインにおこなうことが多いですが、オルタナティブスクールは子どもが主体となる学びをおこなうことがメイン。

現在は小学1年生から6年生まで11人が在籍。男の子が多めだそうです。

活動時間は9時から15時。水曜日以外の平日に開校しています。

通学のスタイルはさまざま。小学校にも通いつつ、ヒトツナガリに週何回か通う子。ヒトツナガリにメインで通う子。

週2~4回のコースがありますが、不定期コースもあるのでいろいろな通い方ができます。

ないものは自分たちで作り上げる

ヒトツナガリを運営するあんこさん。ヒトツナガリは娘さんが1年生になる年にスタート。

娘さんが年長の時のやり取りから、このまま娘が公立の小学校に上がることに違和感を感じたそうです。

我が子に合う学校が身近にない。でも、福井には選択肢も少ない。

選択肢がないのであれば、自分たちで立ち上げようという気持ちでヒトツナガリがスタート。とても行動力がありますね。

美術教員の資格もあり、アトリエで絵画教室を開いていたことも強みでした。子どもたちと活動した経験があるのは心強いですね。

ヒトツナガリの名前には「暮らし+学び+遊び」がひとつにつながるという想いがこめられています。

暮らしの中には疑問がいっぱいあり、ささやかな疑問から学びにつながります。遊びの中でも子どもたちは学んでいきます。

普段のスクールの時間もくらしに根差した活動がたくさん。学校の学習とはカリキュラムは異なりますが、漢字や計算なども子どもたちが興味を持つタイミングで学びます。

不登校は全国でも社会的課題として取り上げられることが多くなっています。

まだまだ活動は始まったばかり。新聞などで取り上げられることも多くなり、多くの人が注目しています。

ヒトツナガリのような選択肢が増えることで、より多くの子どもたちの可能性を伸ばしてあげられそうです。子どもたちがのびのび過ごすことで、働くお母さんにもいい影響がありますね。

子どもたちが自分で決めて行動する

今回は来年小学1年生になる息子が体験で参加させてもらいました。晴れの日だったので外での活動に加わりました。

普段の活動は、屋内でも屋外でもおこないます。

アトリエでは主に屋内活動をしているそうです。羽坂地区の拠点では畑仕事やたき火などの外活動が多くなります。特に、晴れている日は屋外活動が増えます。

実際に活動を決めるのは子どもたち。屋内活動が好きな子は屋内で、外に出たい子は屋外活動に参加します。

体験に行った日も、工作をするグループと外で体を動かすグループに分かれていたそうです。

以前、流しそうめんの会にも参加したことがある息子。前回はすぐに輪にとけこんでいました。

今回は最初、ちょっとひかえめに一人で遊んでいましたが、だんだんみんなの輪の中に。
かけっこやサッカーを一緒に楽しみました。

スクールの子どもたちはみんなフレンドリー。息子にもすぐに打ち解けてくれました。

人数の関係で縦割りになるのがすごくいいなと思いました。自然と思い・思いやる関係ができますね。

この日のおやつはあけび。普段も身の回りで採れる果物などをおやつにすることが多いそうです。食べものに関心の高いご家庭にもおすすめです。

別のフリースクールとも連携して遠出をすることもあるそうです。

月に1度は子どもたち主体の三―ティング。やりたいことや今後の予定をみんなで話し合います。

毎日朝集まってからは朝の会。その日の活動内容の確認や、やりたいことを決めます。

ヒトツナガリで大事にしているのが「自己決定」。どんな場面でも子どもたちが主体となって自分で決める機会を作っています。もちろん、危険のない範囲で大人がサポートします。

今後の新しい拠点づくり

現在の大きな活動の一つが拠点づくり。現在の拠点から少し歩いた場所で古い小屋を改修しています。

活動を見ていたご近所の方から受け継いだという小屋。クラウドファンディングで小屋の解体などの寄付も募集していました。

これからはスクールのメンバーで少しずつ場所を整えていきます。目の前には畑となる土地や広い空間があり、より多様な活動ができそうです。

新しい学びの形のモデルケースに

2024年で2年目のヒトツナガリ。1年目はさぐりさぐり。1年経過して季節ごとにやるべきことが見えてきたといいます。

問い合わせも月に1回以上はあるそうです。まだまだフリースクールが少ない福井では、これからも貴重な選択肢になりそうです。

現在メインスタッフが3名。サブスタッフが3名。主に2人のスタッフが毎日の活動に付き添います。人数は日によって変わるのでそれに合わせてスタッフが来ます。

関わってくれるボランティアも募集中。子育て中の人だけでなく、教育に興味のある人や畑づくり、居場所作りなどいろいろな人が関わる機会があります。

もしも子どもが学校に行きたくないと言っても、居場所があるという安心感。我が子に合った学び方を経験できるという可能性。

これからますます成長していくヒトツナガリと子どもたち。これからの時代に合う、学びの一つの形になっていきそうです。

体験は随時受付中ですよ。

オルタナティブスクール小さな学校ヒトツナガリ
住所:福井県福井市福町36-146-3 アトリエ十三
アクセス:福井鉄道福武線「赤十字前駅」徒歩約30分
京福バス 清水グリーンセンター行き「門前北」下車徒歩約6分
TEL:0776-65-5623
営業時間:9:00-15:00
定休日:水曜日・土曜日・日曜日

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。